サラリーマンとしての給料とは別に、株や不動産などの投資商品を使って資産運用を考える方も多いことでしょう。
投資により利益が出たとして、その利益に対してどのように税金がかかってくるのでしょうか。
また、税金はどのようにして納めるのかも気になるところです。
そのような悩みを解決するべく、サラリーマン投資にかかる税金について解説いたします。
投資には税金がかかる
投資を行い、利益が発生した場合には税金がかかります。
税金の種類は所得税になりますが、どのような投資を行うのかにより所得の種類が異なってきます。
所得は全部で10種類に分類されます。
利子所得 | 公社債や預貯金の利子などから生じる所得 |
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配当所得 | 株式や投資信託の配当などから生じる所得 |
不動産所得 | 不動産や土地などから生じる所得 |
事業所得 | 商業などの事業から生じる所得 |
給与所得 | 会社からの給与や賞与から生じる所得 |
退職所得 | 退職金などの所得 |
山林所得 | 5年以上保有していた山林の売却により生じる所得 |
譲渡所得 | 資産を売ることにより生じた所得 |
一時所得 | 賞金などの一時的に生じた所得 |
雑所得 | 上記所得以外の所得 |
このように所得は分類され、所得税の計算時に活用されます。
どのような投資を行ったとしても、その利益は上記所得のどれかに分類され、課税対象となるのです。
サラリーマン投資のほとんどは株式投資
投資にはさまざまな種類があります。
・株式投資(投資信託を含む)
・不動産投資
・太陽光投資
・FX
これらの言葉は聞いたことがあるかもしれません。
しかし、サラリーマン投資のほとんどは株式投資です。
理由①:投資までのハードルが低い
株式投資を行う際、証券口座を開設する必要があります。
開設した証券口座にネットバンキング等で入金を行うだけで株式の売買が可能です。
証券口座はスマホやパソコンを使えば10分程度で開設ができるため、取引までが非常に手軽です。
理由②:投資の頭金を自由に設定できる
頭金を自由に設定できるというのも株式投資の大きなメリットの1つです。
たとえば、不動産投資や太陽光投資の場合、土地の購入に莫大な資金が必要です。
土地購入資金を銀行から借り入れする場合もあるかもしれませんが、非常に大きな金額が必要になることが予想されます。
株式投資の場合は、個人の資産状況に合わせて自由に設定ができるため、手軽に始めることができる投資方法の1つなのです。
株式投資の利益は譲渡所得と配当所得
株式投資を行い、利益が出た場合には税金がかかります。
その利益は、サラリーマンの給与所得とは別の譲渡所得と配当所得に分類されます。
株式売買により生じた所得が譲渡所得、配当金として受け取った所得が配当所得にあたります。
譲渡所得と配当所得それぞれ分けて解説をしましょう。
譲渡所得の計算方法
仮にA社(1株1,000円)の株を購入し、1株1,500円で売却したときの売却益を計算します。
1,000円(購入時の1株あたりの値段)×100株(最小購入単位)=100,000
1,500円(売却時の1株あたりの値段)×100株(最小売却単位)=150,000
150,000(売却金額)-100,000(購入金額)=50,000(売却益)
このように50,000円の利益になります。
1つの銘柄のみの場合、計算も簡単ですが、いくつも銘柄を保有している場合がほとんどです。
そして、その中には損失を発生させてしまった銘柄も含まれるかもしれません。
仮にB社の株を保有していて売却損失が30,000円の場合、A社の利益と損益通算を行います。
50,000円(A社の売却益)-30,000円(B社の売却損)=20,000円(損益通算後の利益)
損益通算は1月1日から12月31日までの1年間で行い、年度の利益確定をします。
1年間の損益通算した結果利益が生じていれば課税対象になりますし、生じていなければ課税の対象にはなりません。
株式投資の場合は1年間の売却益金に対して課税され、その種類は譲渡所得にあたります。
配当所得の計算方法
株には年度の業績を配当金という形で株主に還元するものがあります。
この受け取った配当金は配当所得の対象となり、納税が必要です。
仮に1株あたり100円の配当金を出すA社株を100株と1株あたり200円の配当金を出すB社株を100株保有していたとします。
A社からの配当金は100円(1株あたりの配当金)×100株=10,000円
B社からの配当金は200円(1株あたりの配当金)×100株=20,000円
配当金合計=10,000+20,000=30,000円
この30,000円が配当所得となり課税対象になるのです。
企業からの配当金は、その会社の決算期によって支払われる時期がばらばらになります。
そのため配当所得も譲渡所得同様、1年間の累計金額が課税対象にあたります。
譲渡所得、配当所得の所得税はどのように納税するのか
株式投資により利益が出た場合、所得税を納税する必要があります。
では所得税はどのようにして納めるのでしょうか。
本来、サラリーマンの方は会社からの給料という形で給与所得があります。
給与所得も所得税の対象になるため、納税の必要がありますが、サラリーマンの場合は年末調整を行うことで会社が納税額を計算し納税をしてくれています。
しかし、株式投資によって得られた利益は年末調整の対象外であるため、自身で納税を行う必要があるのです。
株式売買によって得られた譲渡所得と配当金による配当所得の税率はどちらも20.315%です。(内訳は所得税15.315%、住民税5%)
しかし、それらの所得には納税方法の違いがあるため、それぞれ解説いたしましょう。
譲渡所得の納税方法
株取引を行う証券口座を開設する際、口座の種類を選択しなくてはいけません。
・一般口座
・特定口座(源泉徴収なし)
・特定口座(源泉徴収あり)
この3種類のどれかを選択します。
これらのどれを選択するかによって譲渡所得の納税方法が変わってくるのです。
一般口座を選択した場合は、年間の取引履歴から損益通算を自身で計算する必要があります。
また、計算結果に基づいて納税額を計算し確定申告を行い、納税しなくてはいけません。
特定口座(源泉徴収なし)を選択した場合は、確定申告は自身で行う必要がありますが、損益通算の計算は証券会社が行ってくれます。
そのため、一般口座と比較すると手間を省くことができます。
特定口座(源泉徴収あり)を選択した場合は、納税も損益通算も証券会社が行ってくれます。
損益通算や納税額の計算を行う必要がなく、確定申告の必要もないため、便利な納税方法になっています。
このように、証券口座を開設する際にどの種類の口座開設をするかによって譲渡所得の納税方法が変わってくるのです。
配当所得の納税方法
配当所得の納税方法については源泉徴収が一般的です。
配当金を受け取るごとに、証券会社が源泉徴収を行ってくれます。
そのため、年間の損益通算を計算する必要も、確定申告を行う必要もありません。
まとめ
サラリーマン投資にはさまざまな種類がありますが、株式投資がもっとも比率の高い投資方法です。
理由は投資開始までに要する手間やコストが非常に小さいためです。
投資を行い、利益を出すことができた場合は納税の義務が発生します。
しかし、証券口座を開設する際に特定口座(源泉徴収あり)を選択することにより、納税にかかる手間を省くことができます。
投資をし、利益を得た際には確実に納税を行い、更なる利益確定につなげてください。