近年、証券会社などの口座を開設するときなどに、定期的に証券会社から投資信託の紹介がとても多くなりました。
初心者の方にとって、投資信託は実際個別で銘柄を買った場合に比べて、どの程度メリットがあるのかいまいちわからなかったりする方も多いのではないでしょうか。
今回は、初心者向けに投資信託のメリット・デメリットについて解説していきます。
投資信託とは何なのか?
投資信託とは、たくさんの投資家から資金を集めて一つにまとめ、プロの投資家がその資金を運用し、得た利益を出資額に応じた比率で還元する金融商品のことです。
集めた資金を運用するので、利益が出るときがあれば損失が出ることもあります。
とくに、元本保証されている金融商品というわけではなく、金融商品と言えど、投資と同じリスクはあります。
実際に投資信託において、販売・運用・資産保管などは専門の機関が業務を行います。
販売
販売を行うのは、証券会社・銀行などが投資家に向けて販売します。
運用
法律上では委託者という扱いとなり、証券会社から資金を預かる運用会社が資産運用します。
専門的知識を生かし、経済状況などのデータ分析をして、どのように資産を運用していくのかを考えます。
注意点は、実際に商品(株式や国債、債権)を買うのは信託銀行であるということです。
資産保管
法律上では受託者の扱いです。
運用会社が考案したものを受け取り、実際に株式などを買い付けたり、管理を行ったりします。
信託銀行は集めた資金と自社が保有する財産とは区別しているため、比較的安全に運用していると言えます。
投資信託のメリット
では、投資信託のメリットはどこにあるのでしょうか?
少額購入ができる
個別に株式を買う場合、単元株などの決まった株式数以上を買う必要があり、どうしても大きい元手が必要になりますが、投資信託は小額から購入できます。
1万円からの商品もあれば、近年では500円などの少額投資もあり、価格帯はとても広がっています。
初心者の方にとっては魅力の多い金融商品の一つと言えるでしょう。
プロが資産運用してくれる
資産を運用するのは運用のプロであるため、実質的に普通に投資するよりも、期待値は高いと言えます。
決算書が読めても、データ分析や経済情勢の動向の分析、過去何十年のデータとパターンを知っているプロにはなかなか追いつくことはできません。
また、投資信託ならではの個人が買えない・買いにくい金融商品への投資も可能です。
分散投資ができるためリスクが比較的少ない
投資信託は一つの金融商品ではありますが、それを構成しているのはさまざまな株式や債権、時には国債など多様に分配されたものが集まって一つの商品となっています。
つまり、投資信託を買うだけで自動的に分散投資ができるのもメリットの一つです。
とくに、個人で分散投資をしようとすると、一つひとつが小額でも、元手自体は大きな金額が必要になってしまい、どの銘柄にどの程度投資するかを判断することも労力が必要です。
運用状況や配分比率など透明性がある
運用はプロに任せると言っても、投資信託はいつでも資産状況や運用状況を把握できる透明性があるので、比較的安心して投資ができます。
投資信託のデメリット
では、ここまでメリットについて見てきましたが、投資信託のデメリットには何があるのでしょうか。
手数料
投資信託は金融商品ですので、販売会社も利益がもらえるように設計されていることを認識しておかないといけません。
では、どこで利益を出しているかと言うと、手数料です。
投資信託は手数料ビジネスと言われるほど、巧妙に手数料を取り上げます。
とくに、近年の投資信託は非常に数多く存在しており、証券会社もありとあらゆるターゲットに合うように多種多様に商品を作っています。
実際に、アクティブ型ファンドのスタイルだと、投資報酬として2%の手数料を支払うものも存在します。
実際に数値を出してみてシミュレーションしてみましょう。
100万円で20年間、5%の利回りで運用する場合、20年後には250万円程度に膨れ上がります。
しかし、ここで信託報酬として1%の場合は210万、2%なら170万円となってしまいます。
つまり、実際に利益が出たと言っても、実質的に損をしてしまっている可能性が高いことを理解する必要があります。
証券会社からすれば、投資初心者は悪い意味でよいお客様であり、甘い話に乗りやすいので、オススメの投資信託をよく紹介されます。
しっかりこのことを理解して、正しく投資信託を選べるようにリテラシーを高めておく必要があります。
とくに、信託手数料0.5%以上の投資信託は、手数料ビジネスとみなされると言われているので、これを基準にして投資信託を選びましょう。
元本割れのリスクがある
金融商品ですので、基本的には元本保証はありません。
初心者の方は、投資信託はプロが運用するイメージが強いと損失のイメージがつきにくいかもしれませんが、元本割れのリスクは当然ながら存在します。
損失も普通に発生することは、きちんと理解したうえで購入しましょう。
即時に売買することができない
個別で銘柄を買ったときなどは、自分の好きな売買のタイミングをはかれますが、投資信託は仲介している会社が多いため、実際に引き出したいタイミングよりも遅れて引き出されてしまうことがほとんどです。
とくに、投資信託はブラインド方式という投資信託協会が制定したルールがあります。
これは適用される基準価格が明確化されていない状態を指し、その中で売買の注文がなされます。
もちろん、タイミングという点ではデメリットですが、これは投資信託の利益を得る方の平等性を維持するためでもあります。
投資信託にオススメは存在するのか?
初心者の方であれば、まずはNISA(少額投資非課税制度)もしくはiDeco(個人型確定拠出年金)から始めるのが鉄則と覚えておきましょう。
NISAの信託手数料は非課税でかつ、少額から積み立てることができるので、初心者問わず人気です。
政府も国民がなるべくお金を貯金からシフトさせて投資させるように動き出したのが、このNISAでもあるため、投資信託の中でもメリットが多く、リスクも少ない希少な存在です。
まとめ
今回は、初心者のための投資信託についての概要と、投資信託のメリット・デメリットについて解説してきました。
投資信託にはリスクや注意点もあるので、闇雲に証券会社の言われるがままに購入するのではなく、自分で基準を定めながら判断することが非常に大切です。
もちろん、普通に売買するよりもメリットがある場合もあるので、ぜひ一度、さまざまな投資信託の特徴について調べてみることをオススメします。