投資信託は投資銘柄を分散しており、プロが運用しているので安全な投資先だという認識が広まっています。投資をしたことない初心者の方が最初に投資をする筆頭候補が投資信託ではないでしょうか?
実際に筆者の両親や祖父母も地元の金融機関の窓口の営業に応じて投資信託を購入していました。
しかし、後述しますが金融機関が勧めてくる投信は特に注意が必要です。果たして安心という認識が広まっている投資信託は本当にリスクの低い金融商品なのでしょうか?
実際、投資信託に投資をした結果、資産を大きく減らしてしまったという方を頻繁に見かけます。
本日は投資信託が抱える危険性やリスクについてフォーカスしてお伝えしていきたいと思います。投資信託に限らず投資を行う上で全般的に注意を払うべきリスクについてお伝えしますので参考にしていただければと思います。
投資信託が抱える価格変動リスクとは?
まず一番目のリスクとしてわかりやすいのが価格変動リスクです。投資信託は定期預金などの元本保証型ではないので、価格が変動するリスクを抱えています。
価格変動リスクとは平均リターンから価格がブレる可能性のことを言います。専門用語でいうと標準偏差として表されます。
投資におけるリスクについては以下の記事で詳しくお伝えしています
→ 【ハイリスクハイリターン投資とは?】投資におけるリスクを理解してローリスクミドルリターン以上の資産に投資をしよう!
例えば平均リターンが10%で、リスクが10%の場合のリターンは以下となります。リスクが高ければマイナスのリターンとなる可能性当然高くなるのです。
投資信託のリスクとリターンについてはモーニングスターで確認することができます。以下はひふみ投信のリスク(=標準偏差)とリターンです。
5年であれば過去5年間の値動きから導き出されたリスクとリターン。10年であれば過去10年間の値動きから導きだされたリスクとリターンとなります。
例えば過去10年のリスク15.49%とリターン15.92%から導かれる、次の1年のリターンは以下となります。
約68%の確率で以下の範囲に収まる
15.92%-15.49%(=0.43%) 〜 15.92%+15.49%(=31.41%)
約95%の確率で以下の範囲に収まる
15.92%-15.49%×2(=▲15.06%) 〜 15.92%+15.49%×2(=46.90%)
約99.7%の確率で以下の範囲に収まる
15.92%-15.49%×3(=30.55%) 〜 15.92%+15.49%×3(=62.39%)
投資対象を間違えるリスク
投資信託は分散投資を行ってくれますが、あくまで決められた投資対象の中での分散投資です。
例えば、日本株小型銘柄投信の場合は日本株の小型銘柄から分散投資をすることとなります。そのため、日本株小型銘柄が全体的に下落することとなれば、当然投資している投信も下落することとなります。
2020年以降はコロナバブルで巣篭もり銘柄への一点集中型のテーマ投信が増えましたよね。テーマ型投信が大流行しましたが、販売開始されたと同時にバブルが終焉し、現在は大暴落してしまい被害者で溢れています(投資は自己責任ですが)。
あくまで投資をする対象を選ぶのは投資家自身なのです。投資家はどのような投資対象を選ぶかという点について責任を負っているのです。
むしろ、どの分野の投信を選択するかで8割型勝負が決まっており、投資対象が悪ければ仮に投信が優秀であっても大きな損失を被ることになるのです。
外国資産に投資する場合は為替変動リスクが重要
投資対象が日本の株式や債券やREITであったら、為替リスクを負うことはありません。しかし、投資対象が外国建の資産の場合は為替変動リスクを加味しないといけません。
特に投資対象が新興国の場合は気をつけなければいけません。米国に投資する場合、ドル円のリスクはせいぜい最大でも年間20%程度です。
新興国通貨の場合は、1年間で半分になる可能性もあります。以下はトルコリラ円の為替レートの推移です。
1年間で50%以上の変動をする可能性もあるのです。トルコリラ建の債券が10%近いから魅力的だと投資をした結果、最終的に円建で損をしてしまったという結果になるのです。
外貨建の資産の値動きだけでなく、しっかりと円建でリターンを取れるかという観点に立って投資対象を選びましょう。
信託報酬の高さには十分に目を払おう
投資信託には購入手数料と毎年発生する信託報酬があります。
→ ヘッジファンドの成功報酬型手数料体系を投資信託と比較しながらわかりやすく解説する!ハイウォーターマークとは?
投資信託にも二種類あり、株価指数に連動するインデックス型と、インデックスに対してプラスの成績を目指すアクティブ型の投資信託があります。
アクティブ型の投信は高い信託手数料が発生し、毎年の成績の重荷になっています。以下、信託手数料と投信の成績をプロットしたものです。
信託手数料が高い投信ほど、成績が高ければ問題ないのですが実態は違います。信託手数料が高い投信は確かに高い成績を挙げているものもありますが、低い成績となっているものも多く存在しています。
株式投資の平均成績は6%-7%なので、毎年1.5%-2.0%の手数料を取られるのは非常に手痛い打撃ですね。
→ 投資信託は儲からない!?大損しないための投信の選び方を含めてわかりやすく解説する!
特別分配金のリスクも加味しよう
人気の投資信託の種類として毎月分配型投信があります。売れ筋投信の約9割が毎月分配型投信となっています。
毎月分配型投信の中には年率20%-30%の利回りを出すものがあります。
運用収益が出ているものの中からの分配金であれば問題ありません。しかし、大抵の場合は元本から分配金をだす特別分配金となっています。
わかりやすく例を用いて解説します。100万円を投資して5%のリターンがでて105万円になったとします。
ここから30万円分の分配金をだすとなると、5万円分は運用益からの分配金となります。しかし、残り25万円分は元本からの分配金支払いとなるのです。
特別分配金というのは馬鹿げたはなしです。購入手数料や信託手数料を支払って購入した投信の元本から分配金が払い出されていることになります。
つまり、手数料を支払って自分が出資した元本から、ただお金が取り崩されているという状態なのです。特別分配金が拠出されていないかは十分確認してから投資をしましょう。
コラム:投資信託を営業する金融機関の窓口の話に惑わされるな!
筆者の両親や祖父母も知らない間に地場の金融機関の窓口の営業を受けて投資信託を購入していました。
購入した投信を見ると、毎月分配型の購入手数料が3%、信託手数料が2%という高額な手数料の商品でした。そして毎月分配型投信だったので、祖母は以下の通り喜んでいました。
「毎月10万円も配当金が貰えるから嬉しいわ!」
しかし、投資信託の基準価格を見ると投資した時点の半分以下に減少していたのです。つまり、先ほどお伝えした特別分配金が拠出されていたのです。
祖母は投資で得た利益から分配金をもらっていると思っていたものの、実態は自分が投資した元本を引き出しているだけだったのです。しかも手数料を支払って。手数料の高いアクティブ型投資信託は金融機関の手数料ビジネスとなっているのです。金融機関が勧めてくる投資信託には特に注意を払いましょう。
レバレッジ型投資信託は資産を大きく失うリスクがある
毎月分配型の投資信託と並んで人気の投資信託にレバレッジ型の投資信託があります。
レバレッジ投資信託は対象となる指数の毎日の値動きにレバレッジをかける投資信託です。方向感が正しければ大きなリターンを獲得することができます。
しかし、相場が横ばいの場合はレバレッジ型投資信託は下落してしまいます。
つまり長期投資には不向きな投資信託なのです。以下で詳しくレバレッジ型投資信託の仕組みについてお伝えしています。
→ 株式投資初心者にレバレッジ投資信託はおすすめできない!長期投資に不向きな理由をわかりやすく解説する。
実際、日本で人気の楽天日本株4.3倍ブルと日経平均の値動きの比較です。日経平均が上昇しているにも関わらず、楽天日本株4.3倍ブルは日経平均と同等の成績になってしまっています。
レバレッジ型投資信託に投資する際には慎重にかつ短期的に活用するようにしましょう。
テールリスクではあるが信用(デフォルト)リスクもある
債券や株を発行している企業が倒産して利息が払えなくなったり、株式価値が0になったりする可能性もあります。
ただ、投資信託の場合は複数の銘柄に分散投資しているのでリスクは個別銘柄に投資をしている場合に比べてミニマイズされています。
まとめ
プロに投資を一任できると人気の投資信託。銘柄を分散しているといえども以下のようなリスクがあることをお伝えしてきました。
- 価格変動リスク
- 投資対象が限定されているリスク
- 為替変動リスク
- 信託報酬の高い投信のリターンが高いわけではない
- 毎月分配型投信の特別分配金には気をつけろ
- レバレッジ型投信には気をつけろ
プロに任せる投資先は投資信託だけではありません。投資対象を含めて一流のプロに任せることができる投資先としてヘッジファンドがあります。
→ ヘッジファンドと投資信託の違いについてわかりやすく解説!中間に位置するヘッジファンド型投資信託と共に紐解く。