頑張って働いてきた会社から最後のお礼として貰うのが退職金ではないでしょうか。大企業の場合、定年まで働くと平均して2500万円以上の退職金がもらえるそうです。
中小企業の場合はざっくりと上記の半額程度の支給となります。
退職金として2000万円貰えれば非常に嬉しいですが、東京都内に住んでおられて退職金だけでは不安だという方も多いのではないでしょうか?
そこで張り切って投資をして増やそうと試みた結果、退職金を溶かしてしまうという残念なケースも散見されます。
本日を退職金を生活費として使用しながらも、人生100年時代を見据えて有効に増やしていく方法についてお伝えしていきます。
折角、40年近く頑張ってきたご褒美として会社からいただく退職金を間違った投資で溶かしてしまわないために是非ご覧いただきたいと思います。
二種類の退職金!退職一時金と退職年金とは?
一言に退職金といっても二種類あります。
まず一つ目は退職一時金制度により支給されるもので、退職時に一括で支給されます。退職一時金が所謂、退職金として認識されています。
また、退職後一定期間や生涯にわたって毎月給付する年金制度も退職金の一部として認識されています。
所謂、厚生年金や確定給付年金、確定拠出年金といった類のもので会社によって異なります。筆者のように独立していると国民年金しか貰えないので羨ましい限りです。
年金については会社によって様々ですので、本日は退職時にもらえる退職一時金を運用する方法についてお伝えしていきたいと思います。
退職金を運用する際に気をつけること
では退職金を運用する際に気をつけるべき点についてみていきたいと思います。
FXに手をつけるのは危険
個人に身近な投資先の代表例としてFXがあります。しかし、FXは残念ながら個人、特に投資初心者には最もおすすめできない投資です。
筆者は為替トレーダーとしての経歴もあるのですが、本当にプロであっても生き残るのが難しい世界です。外資系金融の一流トレーダーも成績が悪くて実質的に解雇されている姿を何人もみてきました。
そもそもFXは上がるか下がるがの期待値が50%の勝負ですので、そもそも投資ではありません。投資というのは期待値がプラスの勝負をしなければいけないのです。
投資の王様と言われる株式投資は企業収益の増大にしたがって資本主義が始まって以来パイを拡大しつづけています。
以下は代表的な米国の株式指数であるS&P500指数ですが、何度も暴落局面はありながらも一貫して右肩あがりに上昇しています。
投資をするのであれば、勝てる市場に資金を投じる必要があるのです。
元本保証の罠にはまらないようにしよう
折角の退職金だから減らすのが怖い。
だから、結局定期預金を考えているという方もいらっしゃるでしょう。しかし、断言します。定期預金はデメリットしかありません。
ゼロ金利政策下で0.1%程度の金利をもらったとしても雀の涙しか手元に入りませんし、資金拘束をされてしまい途中で解約するにも手間がかかります。
更に高い利回りを求めて米国債に投資したとしても現在FRBの金融緩和によって米国すらもゼロ金利となっています。更にドル円の為替リスクをおうことになります。
また、高い利回りを求めて新興国の債券に投資するのは更に注意です。新興国の為替レートは円に対して50%下落することも珍しくありません。
現地通貨建で元本保証であっても為替変動リスクを考えると寧ろ危険な投資対象なのです。
元本保証型の積立保険も機会損失
元本保証で積立ができる保険商品が人気を博していますが、退職金の運用には全く向いていません。
積立型保険は払込終了時点までに解約をすると元本すら戻ってきません。特に退職後から積立保険を初めてしまうと元本以上の金額を受け取れるとしても90歳からになってしまいます。
また、運用利率も非常に低く、機会損失を被ってしますのです。運用利率並びに拘束期間ともに適切な投資先とはなりません。
リスクの概念を理解しよう
退職金を運用する際には極力リスクが低い商品を選ぶ必要があります。
リスクときくと下落する可能性の高さのことを意味していると考えている方が多いですが、投資におけるリスクは別の考え方をします。
投資におけるリスクとは平均リターンからのブレ幅の大きさです。概念図で表すと以下となります。
リスクが大きい、つまりブレ幅が大きい銘柄は大切な退職金を運用する先として適切ではありません。出来る限りリスクが少なく安定した心でうんようできる投資先を選定していきましょう。
→ 【ハイリスクハイリターン投資とは?】投資におけるリスクを理解してローリスクミドルリターン以上の資産に投資をしよう!
退職金のおすすめの運用法とは?
それでは本題の退職金の運用方法についてお伝えしていきたいと思います。
4%ルールで取り崩しながら運用しよう
退職金を運用するといっても、年金がもらえるまでの間取り崩しは行いたいという方も多いのではないでしょうか?
そのような方におすすめなのが4%取り崩しルールです。退職金を運用する傍ら、全体の4%を取り崩していくという方法です。
例えば退職金が2000万円として年率7%で運用しながら4%取り崩していく場合、今後20年間の取崩額と資産額は以下の通りとなります。
取崩額 | 資産額 | |
1年目 | 80 | 2,054 |
2年目 | 82 | 2,110 |
3年目 | 84 | 2,168 |
4年目 | 87 | 2,227 |
5年目 | 89 | 2,287 |
6年目 | 92 | 2,349 |
7年目 | 94 | 2,413 |
8年目 | 97 | 2,479 |
9年目 | 99 | 2,546 |
10年目 | 102 | 2,616 |
11年目 | 105 | 2,687 |
12年目 | 108 | 2,760 |
13年目 | 110 | 2,835 |
14年目 | 113 | 2,912 |
15年目 | 117 | 2,991 |
16年目 | 120 | 3,073 |
17年目 | 123 | 3,156 |
18年目 | 126 | 3,242 |
19年目 | 130 | 3,330 |
20年目 | 133 | 3,421 |
資産を増やしながらも取崩額まで増やすことができるのです。そして、先ほど挙げた年率7%で運用することは決して難しいことではないのです。
平均的な米国株式インデックスに投資するだけで7%-10%を狙うことができるのですが、最大30%-40%の下落を被る可能性があります。
2000万円が仮に1200万円-1300万円になってしまっては狼狽してしまう可能性もありますよね。なかなか耐えることは出来ないと思います。
退職金を運用するのであれば下落を最小化しながら安定して運用していく必要があるのです。
適切な資産分散を行おう
安定して高い運用をする上でやはり参考になるのは世界最高峰の年金運用機関です。
一番参考になるのが、米国の一位流大学であるハーバード大学の年金基金のポートフォリオです。
ハーバードの年金基金は長期的に年率10%以上のリターンを叩き出しており、安定的に年金資産を増やしています。そして、現時点でのハーバード大学のポートフォリオは以下の通りとなっています。
Public Equity → 上場株(26%)
Private Equity → 未公開株投資(PEファンド)(20%)
Hedge Fund → ヘッジファンド(33%)
Real Estate → 不動産(8%)
Natural Resources → 原油、石炭、貴金属(4%)
Bonds → 債券(6%)
上場株は全世界株のインデックス投資を行えば代替可能です。ただ、最も大きなポーションをしめるPEファンドやヘッジファンドは証券会社経由で購入するこは可能できません。
PEファンドやヘッジファンドは市場環境によらず収益獲得を狙う絶対収益型のファンドです。リーマンショックなどの局面でも極力資産を減らさずに安定感ある収益を叩き出しています。
以下はヘッジファンドやPEファンドの成績ですが株式市場平均を大きく上回っています。
ヘッジファンドやPEファンドはオルタナティブ投資といわれています。
オルタナティブ投資は市場平均に連動しない成績をだしポートフォリオの安定性を保つ投資先として世界最先端の機関投資家達から重用されています。
例えば、単純に日本株と米国株に投資していた場合、厳密には分散しているということはできません。米国株が下落する時は日本株も下落する可能性が高いので、両方に投資しても分散をしている意味がないのです。
ただ、オルタナティブ投資を組み合わせることで、上場株ポーションが下落している時もオルタナティブ投資が下落を抑制することでポートフォリオ全体の損失を抑えることができるんのです。
PEファンドは上記ご覧の通り、PEファンドはリーマンショックの時に大きく下落していますがヘッジファンドは直線上に資産を伸ばしています。
日本にもコロナショックを無傷で乗り切り毎年10%以上のリターンを叩き出している安定感抜群のファンドも存在しています。
筆者もヘッジファンド投資を中心としてポートフォリオを組んでいます。ヘッジファンドについては以下で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
【最新版】個人的な考察から日本のヘッジファンドをおすすめ順にランキング形式で一覧にして紹介!
まとめ
退職金は老後資産として重要な資金であるため下落を出来る限り抑えて安定的に運用していく必要があります。年率7%-10%で運用しながら、4%を取り崩していけば生活費にあてながら資産自体も増加させていくことができます。
退職金を運用するにあたって参考になるのはハーバード大学などの米国の一流大学の年金基金の運用手法です。株式だけではなく、ヘッジファンド等のオルタナティブ投資を組み入れてポートフォリオの安定を確保しながら年率7%-10%を狙うのが重要です