世の中のほとんどのファンドは投資信託をはじめとした公募ファンドで占められています。
しかし、公募ファンドだけでなく私募ファンド(=プライベートファンド)というファンド形態も存在しています。1998年末の投資信託法の改正で私募ファンドを創設できることができるようになったのです。
一言に投資信託といっても公募ファンドと私募ファンドで以下のように多種多様に分かれているのです。
本日はもっとも大きな分類である公募ファンドと私募ファンドの違いについてお伝えしていきたいと思います。
「公募」「私募」の前にそもそもファンドとは?
公募や私募の前にそもそもファンドって何なんだろう?
という疑問をお持ちの方も多いと思います。ファンドとは投資家から資金をあつめて金融市場に投資を行い、得られた利益を還元する形態です。
投資家は投資した金額に応じて利益が配分されます。
投資する対象は株式だけとは限りません。債券や金等の貴金属や穀物など滝に渡ります。また株式といっても、日本だけでなく世界の株式市場が対象となります。
ファンドは金融商品に投資を行うので銀行預金のように元本保証ではなく、元本割れすることは考えておいたほうがよいでしょう。
投資信託を代表とした公募ファンド
公募ファンドとはいわゆる投資信託です。
公募ファンドは銀行や証券会社といった金融機関が大々的に販売することができます。店頭だけでなく、各金融機関のHPで販売することが可能です。
電車のつり革や広告で投資信託の宣伝ができるのも投資信託が公募ファンドだからです。公募ファンドは広く一般の個人投資家達にも開かれたファンド形態ということになります。
運用残高は少し古いデータではありますが2018年時点で110兆円という規模に年々拡大しています。
公募ファンドは宣伝はできるのですが、金融商品取引法の規制をうけデリバティブや為替予約取引に一定の制限が設けられます。
私募ファンドとは?
次はいよいよベールに包まれた私募ファンドについて見ていきましょう。
一般的な私募ファンドの形態
私募ファンドは近年急激に運用残高が上昇しています。
私募ファンドは大々的にではなく、私的な募集で適格機関投資家という専門知識を優羽する2名から50名未満の投資家から資金を集めるファンドです。
一方、私的な募集によって投資家から資金を集める投資信託、あるいは適格機関投資家と呼ばれる専門的知識を持つ投資家を対象とした投資信託を私募ファンドと呼びます。
ここでいう私的な募集とは、2名以上50名未満の人を相手方として勧誘することを意味しています。ほとんどの私募ファンドは専門的知識を持つ投資家を対象としているため、公募ファンドと異なり運用における制限がほとんどありません。このためデリバティブ取引などが積極的に活用されているものが多いようです。また、私募ファンドは、ホームページやマスコミを利用した宣伝活動も行われません。
参照:投信資料館
適格機関投資家とは「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令」で以下のように規定されています。(第10条は27項までありますが代表的な8項までの抜粋となります。)
(適格機関投資家の範囲)第十条 法第二条第三項第一号に規定する内閣府令で定める者は、次に掲げる者とする。ただし、第十五号に掲げる者以外の者については金融庁長官が指定する者を除き、同号に掲げる者については金融庁長官が指定する者に限る。一 金融商品取引業者(第一種金融商品取引業(有価証券関連業に該当するものに限り、法第二十九条の四の二第十項に規定する第一種少額電子募集取扱業務のみを行うものを除く。)又は投資運用業を行う者に限る。)二 投資法人三 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二十五項に規定する外国投資法人四 銀行五 保険会社六 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第七項に規定する外国保険会社等七 信用金庫及び信用金庫連合会並びに労働金庫及び労働金庫連合会
上記をご覧いただければ分かる通り、銀行、保険会社、信金、農林中金などの所謂機関投資家が対象となっています。
合同会社の社員権の販売という形態
先ほど紹介した私募ファンドは対象は大規模な機関投資家となります。
一方、個人投資家でも購入できる私募ファンドの形態として注目されているのが合同会社の社員権の販売という形式での運用となります。
合同会社が自らの資金調達のため、社員権を自ら募集又は私募する行為は、金融商品取引業の登録を受けずして行うことができます(金融商品取引法2条8項7号参照)。
これは合同会社のファンドスキームにおける例外適用といわれているものです。筆者が投資しているBMキャピタルも、この合同会社スキームを用いて事業を運営しています。
金融庁の登録をうけるためには様々な費用が発生したり運用に制限をうけるので自由な運用を行うという観点では私募ファンドとして組成する方が最終的に顧客の利益に資するのです。
>>> ヘッジファンドと投資信託の違いについてわかりやすく解説!中間に位置するヘッジファンド型投資信託と共に紐解く。
公募ファンドと私募ファンドは結局どちらがいいの?
公募ファンドと私募ファンドは資金を集める投資家の違いと、運用の自由度に差があるとお伝えしてきました。その他にも公募ファンドの代表である投資信託と私募ファンドの代表である私募ファンドの違いについては以下記事でまとめています。
>>> ヘッジファンドと投資信託の違いについてわかりやすく解説!中間に位置するヘッジファンド型投資信託と共に紐解く。
では実際成績はどちらの方がよいか?という点は気になるところですね。
まず以下は公募ファンドの投資信託の成績ですが、年率で発生する手数料率が高くなればなるほど低い成績になってしまっています。
>> ヘッジファンドの成功報酬型手数料体系を投資信託と比較しながらわかりやすく解説する!ハイウォーターマークとは?
マイナスのリターンの成績のものが40%近くあるという悲惨な結果となっています。
一方の私募ファンドの代表例であるヘッジファンドの成績は市場平均を凌駕する素晴らしいものとなっています。
まら、下落時にはしっかりと損失を抑えれていますね。これは先物等を通してヘッジを行えているからとりえるでしょう。運用の自由さがもたらした結果です。
以下で、個人投資家でも投資できるプライベートファンドであるヘッジファンドについて詳しくまとめていますので参考にしていただければと思います。
>>> 【最新版】個人的な考察から日本のヘッジファンドをおすすめ順にランキング形式で一覧にして紹介!
まとめ
公募ファンドの代表格である投資信託は銀行や証券会社といった金融機関が店頭やネットを使って大々的に宣伝し広く資金を募れる代わりに運用手法が制限されています。
一方、私募ファンドは二つの形態があり一つは機関投資家向けの投資信託です。もう一つは合同会社の社員権販売という形で個人投資家から資金を募り運用している形態のファンドもあります。
私募ファンドはデリバティブ等を用いた自由な運用ができるという強みがあります。
また、両者の成績はやはり運用の自由度が確保されている私募ファンドが圧倒しており、今後個人投資家も選択肢として検討していった方が賢明といえるでしょう。