投資信託といえば投資初心者の方にとって最初の選択肢となる投資先かと思います。
私の祖母も金融機関の勧めに応じて、毎月分配型の投資信託を購入していました。(後で顛末についてはお伝えします)
投資信託はアベノミクスの影響もあり年々残高は増えてきています。2019年末時点では120兆円以上の残高となっています。
今回の記事では投資信託は本当に儲かるのか?
という点についてデータを用いて分析した上で、投資信託で大損しないための選び方についてお伝えしていきたいと思います。
「売れ筋」の投資信託は散々な成績
ではまず肝心の成績について様々な側面からみていきましょう。
アクティブ型投信の成績はインデックス型投信に比べて顕著に低い
一言に投資信託といっても、アクティブ型とインデックス型の二つがあります。
インデックス型というのは日経平均やTOPIX、米国ではダウ平均やS&P500指数のような指数に連動する投信のことです。
アクティブ型というのはインデックスに対してプラスのリターンを目指す投資信託です。しかし、以下の結果をご覧ください。
日本も海外もインデックス型の方がアクティブ型よりも顕著に高い成績を出しています。
アクティブ型の投資信託は当然投資のプロによって運用されています。
しかし、皮肉なことに多くのアクティブ型の投資信託は平均以下の成績に陥っているのです。
「売れ筋」投資信託の成績はマイナス
更に別のデータも確認していきましょう。
以下は日米の純資産額上位5商品の投資信託の運用成績を比較したものです。全てアクティブ型の投資信託です。
純資産が多いということは、多くの投資家から資金を集めている投資信託と言い換えることができます。
日本の投信は購入する時に一括で支払う販売手数料と、毎年発生する信託手数料が共に米国の投信の5倍の水準です。
手数料が高くてもリターンが高ければ問題ないのですが、過去10年の年率リターンはマイナスに沈み込んでいます。(手数料加味後、配当金再投資しない前提)
支払う手数料が高いのに資産を減らされてしまっては日本の投資家としては残念な結果ですよね。
信託手数料の高さとリターンの高さは相関しない
更に手数料と、リターンの相関についてみていきましょう。
以下は横軸に信託手数料、縦軸に10年間のリターンをプロットしたものです。
信託手数料が0.5%-1.0%の最も低いグループが最も高い成績を残しています。
更に最も高い1.5%-2.0%のグループは高いリターンを出すものもあるがリターンがマイナスとなってしまう投信が約4割という散々な結果になっています。
ではなぜ、このような結果になってしまっているんでしょうか。次項以降で紐解いていきたいと思います。
金融機関がすすめる投資信託が孕む罠とは?-手数料ビジネスの実態-
先ほどの結果を纏めると以下となります。
- アクティブ型投信よりインデックス型投信の方が高いリターン
- 売れ筋投信は高い手数料で低い手数料
- 手数料の高さとリターンの高さの相関はない
①に関してはアクティブ型の投信の方が、調査費や人件費が高くなるので手数料がインデックス型に対して圧倒的に高くなっています。
また、②と③で手数料が高いからといって成績がよくないということが分かったかと思います。
そもそも、なぜ金融機関の窓口が投信を販売するのか?という点を考えたことはありますでしょうか。
金融機関は投資信託を販売することで販売手数料と信託手数料の一部を収益として認識することができるのです。
特に信託手数料については、毎年発生するので継続的な収益基盤となるのです。
そのため、金融機関はいかに複雑でリターンがでそうな投資信託を組成して高い手数料を投資家に販売することで儲けることができるのです。
つまり、手数料に高いアクティブ型の投信は投資家が儲かる商品ではなく、販売側の金融機関が儲かる商品なのです。
→ ヘッジファンドの成功報酬型手数料体系を投資信託と比較しながらわかりやすく解説する!ハイウォーターマークとは?
注意すべき典型的な投資信託の種類
ではどのような投資信託が危険なのでしょうか?代表的な注意すべき投資信託について紹介していきたいと思います。
毎月分配型の投資信託には要注意
冒頭にお伝えした私の祖父が地銀の窓口ですすめられた毎月分配型の投資信託が典型的な例です。
売れ筋投信、つまり金融機関の販売員が積極的に販売している投信の約9割が毎月分配型の投資信託です。
毎月分配型投信は高いものだと毎月2%-3%の分配金をだすものがあります。年率にすると20%-30%という水準です。
これが如何に異常なことか分かりますでしょうか?
$高配当といわれる銘柄でも5%、一番高いものでも7%-8%の水準です。
また、投資の神様ウォーレンバフェットですら長期リターンは20%です。
そもそも20%-30%の分配金を出すのは現実的ではないのです。
では実際どのように分配金を出しているのでしょうか?
毎月分配型投信は、運用益で足りない分は元本から特別分配金として分配金を拠出しているのです。
つまり、手数料を支払って自分が預け入れている元本から毎月取り崩しているだけという結果になっているのです。
実際、私の祖母も毎月分配金を貰って喜んでいたそうですが、基準価格は投資した時の4分の1になっていました。
カンカンに怒っていましたが、投資する前に私に相談してほしかったなと悔しい気持ちで一杯です。
→ 投資信託の失敗談の典型!?金融庁も危ないと指摘する毎月分配型投信の罠についてわかりやすく紐解く!
レバレッジ型の投資信託には要注意
更にもう一つ注意しなければいけない投信がレバレッジ型の投資信託です。
日経平均やTOPIXなどの値動きの2倍や3倍、時には4倍以上の値動きを行う投信が販売され人気を博しています。
また、インバース型のレバレッジ型投信は逆の2倍、3倍といった動きをする投信も組成されています。
レバレッジ型の投信は相場が一方向に動く局面でも有効な場面もあります。
しかし、読み間違えると大きな損失を被ってしまいますし、そもそも長期投資に向く作りとはなっていません。
レバレッジ型の投資信託はあくまで、1日の値動きに対してレバレッジをかける設計です。
すると相場が停滞する局面においては指数の値が変わらなくてもレバレッジ型投信は下落してしまうのです。
0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | |
対象 インデックス |
100 | 90 | 110 | 90 | 110 | 100 |
ダブルブル | 100 | 80 | 115.55 | 73.53 | 106.02 | 86.74 |
ダブルベア | 100 | 120 | 66.66 | 90.9 | 50.5 | 59.68 |
余程、短期的な方向感に自信がある場合にのみピンポイントで活用する場合を除き、安易にレバレッジ型投信に手をだすのは辞めておいた方がよいでしょう。
→ 買付上位で評判の楽天日本株4.3倍ブルや楽天日本株3.8倍ベアは大損する可能性がある!?レバレッジ型投資信託のリスクを紐解く!
金融庁が推奨する長期投資に適した投資信託の選び方
では大損しないための投資信託をどのように選べばといのでしょうか?
ヒントとなるのが金融庁が長期投資を推進するために開始した「つみたてNISA」に採用する投信の採用基準が参考になります。
「つみたてNISA」は金融庁が選定した投信しか投資家は取引することができません。
逆にいうと本物のプロの目から見た長期投資に適した投資信託ということができます。
以下、5400本の投信の中から僅か50本のみが条件を満たす投信として選定されています。
特にアクティブ型の投信は2700本のうち、1%未満の約20本しか選定されていません。
先ほど注意すべき投信としてあげた、毎月分配型やレベレッジ型投信は除外されています。
更に、5年以上存続してある程度の規模がある投信のみが選定されています。
現時点で「つみたてNISA」に選定されているアクティブ型投信は以下となりますので参考にしていただければと思います。(2020年12月23日最新版)
EXE-i グローバル中小型株式ファンド | SBIアセットマネジメント㈱ |
結い 2101 | 鎌倉投信㈱ |
コモンズ30ファンド | コモンズ投信㈱ |
セゾン・バンガード グローバルバランスファンド |
セゾン投信㈱ |
セゾン資産形成の達人ファンド | セゾン投信㈱ |
ハッピーエイジング20 | SOMPOアセットマネジメント㈱ |
ハッピーエイジング30 | SOMPOアセットマネジメント㈱ |
ハッピーエイジング40 | SOMPOアセットマネジメント㈱ |
大和住銀DC国内株式ファンド | 三井住友DSアセットマネジメント㈱ |
年金積立 Jグロース | 日興アセットマネジメント㈱ |
ニッセイ日本株ファンド | ニッセイアセットマネジメント㈱ |
のむラップ・ファンド(積極型) | 野村アセットマネジメント㈱ |
フィデリティ・欧州株・ファンド | フィデリティ投信㈱ |
フィデリティ・米国優良株・ファンド | フィデリティ投信㈱ |
世界経済インデックスファンド | 三井住友トラスト・アセットマネジメント㈱ |
eMAXIS NYダウインデックス | 三菱UFJ国際投信㈱ |
ひふみ投信 | レオス・キャピタルワークス㈱ |
ひふみプラス | レオス・キャピタルワークス㈱ |
ファンドは投資信託だけではない!?
先ほどのリストはあくまで投資信託という括りの中で長期投資に適している可能性がある銘柄のリストです。
当ブログでもいくつか分析してきました。
関連
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確かに比較的高品質の投資信託なのですが、以下の問題を抱えています。
- 販売手数料や信託手数料が高いものもある
- 世界経済の影響を大きくうけて暴落する可能性もある
- 直近は殆ど日経平均と同等以下の成績
正直、投資信託に投資をするのであれば、インデックスに投資するインデックス型投信だけで事足りると筆者は考えています。
インデックスに対してプラスのリターン獲得を目指すのであれば、現実的な選択肢としてヘッジファンドが浮かび上がってきます。
→ ヘッジファンドと投資信託の違いをわかりやすく解説!中間に位置するヘッジファンド型投資信託と共に解説する!
ヘッジファンドは市場下落局面でも下落損失をミニマイズして安定して市場平均をアウトパフォームする成績を叩き出しています。
海外では機関投資家や超富裕層しか投資することができませんが、日本では海外と遜色のない成績を出しているファンドに個人投資家でも投資をすることができる環境が整ってきています。
以下で詳しくお伝えしていますので、参考にしていただければと思います。
まとめ
投資信託の中で特にアクティブ型の投資信託は株価指数に対して低い成績となってしまっています。
更に手数料徴収を目的とした手数料ビジネスの様相を呈しており、投資家目線での商品が組成されていないという大きな問題点を抱えています。
特に毎月分配型投信やレバレッジ型投信には気をつきましょう。
長期投資に適した投信を選定するのであれば、金融庁の「つみたてNISA」の選定基準を参考にするのが有効でしょう。
ただ、近年は「ひふみ投信」を含めて凡庸な成績となっている点は頭に留めておきましょう。
ファンドは投資信託だけではありません。以下では筆者が投資をしているヘッジファンドを含めて、魅力的な投資ファンドについてお伝えしていますので参考にしていただければと思います。