投資を始めることにしたけど、何に投資したらよいか分からない。
取り敢えず、金融のプロが勧めてくれる投資信託から始めようと考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、一言に投資信託といっても4000以上の種類があり何に投資していいか分からないというのが現状でしょう。
金融機関が勧めてくる投資信託については注意しなければいけないという点については前回詳しく解説しました。
→ 投資信託の失敗談の典型!?金融庁も危ないと指摘する毎月分配型投信の罠についてわかりやすく紐解く!
では結局、どのような投資信託が良いのでしょうか?
本日は「今買うべき投資信託」はどれなのか?
という視点にたって相場整理を行った上で、お伝えしていきたいと思います。
2020年〜2022年の相場を振り返る
2020年は年初から波乱の幕開けでした。
パンデミックが世界同時株安が進行し、米国株が年初来40%近く、日経平均が年初来で30%近く下落しました。
しかし、その後異次元の金融緩和を実施したことで世界的に株価は急激にリバウントし歴史的にバブル相場を作り出しました。
青:全世界株式 (All Country World Index)
黄:先進国株(Worldとなってますが先進国で間違いありません)
緑:新興国株
米国をはじめとして日本や欧州の先進各国が、財政支出と金融緩和を協調的に行いました。結果として資金が市場にじゃぶじゃぶに溢れて株や金といった資産に資金が向かったのです。
しかし、あまりにも「お金」を擦りすぎたので1970年代以降の強烈なインフレが発生し、2022年からは金融引き締めが実施されています。
その後、株価は上昇していますが直近指数に対して寄与度の大きいソフトバンクグループやユニクロのファーストリテイリングや東京エレクトロンが下落したことで下落に転じています。
相場の回復を牽引したのはグロース株
株式相場は底値から急激に回復しましたが、強い株と弱い株で明暗がくっきり分かれました。分かりやすい例だとグロース株とバリュー株の比較が挙げられます。
→ バリュー株(割安株)投資とグロース株(成長株)投資の違いとは?両者を比較しながらわかりやすく解説する!
データで見るグロース株の力強い回復
以下はTOPIXのグロース株とバリュー株の比較です。
紫:TOPIX Growth指数
青:TOPIX Value指数
圧倒的にグロース株がバリュー株を上回っていることが分かります。グロース株が強いのは日本だけではありません。
以下は米国のダウ平均株価とナスダック総合指数の推移です。ハイテクグロース株の比率が高いナスダックが伝統的な銘柄群であるダウ平均株価を大幅に凌駕していることが分かります。
青:ナスダック総合指数
赤:ダウ平均
世界的にグロース株が相場の回復を牽引してきたのです。
ただ直近ご覧いただければわかる通り急速にグロース株は下落してバリュー株に接近してきています。
この理由については追ってお伝えします。
グロース株が強い理由①:ニューノーマルな生活様式
まず要因の一つ目として挙げられるのは、ニューノーマルな生活様式です。
リモートワークが推進され、テレビ会議や宅配サービス、ECなどの企業群は業績が急騰することを見込んで買いが入りました。
一番分かりやすい例だとアマゾンやZOOM、ネットフリックスなどが挙げられますね。
これらの銘柄はコロナショックによってむしろ恩恵を得られる業態なので、当然株価も上昇していきました。
一方、ダイレクトに影響を受ける航空産業やレジェー産業、小売産業は壊滅的な打撃を受けていますね。
グロース株が強い理由②:低金利環境
更に重要なのが低金利環境の継続です。
2020年のコロナショックをうけて元々日本は長期金利も0近傍でしたが米国の10年債金利も沈み込みました。
グロース株が低金利環境環境で有利な理由は二つあります。
一つは成長投資のために行う借入金の金利を低く抑えることができる点です。支払い金利は将来の収益を圧迫するので、支払い金利が低いのはグロース株にとっては追い風ですね。
二つ目は将来生み出すキャッシュの割引現在価値が高くなることが挙げられます。
企業の価値というのは将来企業が生み出す利益を現在の価値に割りもどして合計した金額と考えることもできます。
金利が高いと将来生み出すキャッシュの現在の価値は小さくなります(後述)。一方、金利が低いと将来生み出すキャッシュの現在価値は大きくなります。
結果的にグロース株の現在の価値が低金利によって押し上げられ株価が上昇していたという背景があるのです。
しかし、右端をご覧ください。2021年から金利は急上昇に転じています。これがグロース株が2022年から大きく下落している背景なのです。
コラム:将来生み出すキャッシュフローの割引現在価値について
先ほどの議論について何をいっているのか分からないと混乱した方もいると思います。
経済学部でファイナンスをかじったことがある方には当然の議論ですが、あまり一般的な考えではありませんからね。
まず基本的なことですが、現在100万円貰うのと、1年後に100万円貰うのはどちらが嬉しいでしょうか?(今生活に困窮しているわけではないとします。)
答えは現在100万円貰うことです。理由は簡単で債券投資などで安全に100万円を少しでも増やすことができるからです。
例えば金利が1%だとすると、現在の100万円は1年後の101万円の価値があるのです。言い換えると、1年後の100万円は現在の99万99円ということになるのです。
では今後5年間、毎年1億円のキャッシュを生み出す企業の割引現在価値を金利が10%の場合と1%の場合で算出してみた表が以下です。
1年末 現在価値 |
2年末 現在価値 |
3年末 現在価値 |
4年末 現在価値 |
5年末 現在価値 |
計 | |
金利10% | 90.90 | 82.64 | 75.13 | 68.30 | 62.09 | 379.06 |
金利1% | 99.00 | 98.03 | 97.06 | 96.09 | 95.14 | 485.32 |
生み出すキャッシュは同じでも金利が低いと企業の価値は高くなるのです。
特に収益が右肩あがりにのびるようなグロース銘柄のバリュエーションが高くなるのは当然の結果といえますね。
今後はバリュー株の相場に回帰すると予想
今までは絵に描いたようなグロース株相場でした。しかし、今後はバリュー株が相対的に強い動きをすると想定しています。
グロース株の上昇も臨界点にきている?
もう一度先ほどの図をご覧ください。バリュー株がグロース株を追い上げています。
紫:TOPIX Growth指数
青:TOPIX Value指数
直近はバリュー株優位の相場が継続しています。
2022年に発生したインフレを受けて金利が急騰したことを受けてバリュー株が息を吹き返している様相となっています。
長期的にはバリュー株がグロース株を凌駕
以下は野村證券のデータですが、長期的にバリュー株はグロース株を凌駕する成績を収めています。
現在の局所的なグロース株の強気相場は永遠に続くものではなく、今後はバリュー株相場へと回帰していくのが自然の成り行きであると考えます。
長期的にリターンを出してきた伝説の投資家「バフェット」や彼の師である「グレアム」もバリュー株投資家ですからね。
今買うべき投資信託とは?真のバリュー株ファンドは存在する?
では今から買うべき投資信託はあるのでしょうか?
結論からいうと「投資信託」という括りでは適したものは存在しません。
バリュー株投資信託の弱点
以下は楽天証券の国内バリュー株投信の人気ランキングです。
ひふみプラスは「ひふみ投信」が證券会社に卸している投資信託です。
以下は過去5年のひふみプラスと日経平均株価の推移ですが、殆ど同じリターンとなっていることが読み取れます。
日経平均に配当金が加味されていないことを考えると、日経平均に大きく劣後していることがわかります。
青:ひふみ投信
赤:日経平均株価
ひふみ投信はカンブリア宮殿で有名になりすぎて、資金が集まりすぎたことで大型株に投資せざるを得なくなりました。
結果的に本来ファンドマネージャーの藤野氏が得意とする、超小型バリュー株投資を実践できなくなり、市場平均と同様または劣後するリターンになってしまっているのです。
→ やばい!不調で完全に終わったと囁かれる「ひふみ投信」や「ひふみプラス」はやめたほうがいい?評判のBMキャピタルとの類似点と比較しながら分析。
他のファンドも大抵は低PERや低PBRの銘柄に投資をするというものばかりです。
次項でお伝えするような伝統的なバリュー株投資を実践している投資信託は存在していないのです。
真のバリュー株投資ファンドとは?
元来、バリュー株投資というのはウォーレンバフェットの師であるグレアムによって生み出された概念です。
彼は安直に指標に頼ることなく、企業の財務諸表を精査して再現性の高い手法で高いリターンを叩き出していました。
彼の投資手法は市場から考えられない程割安な価格で放置されている銘柄に対して投資を行います。
株価は短期的には本質的な価値からは乖離するが、長期的な株価は本質的価値に収斂するため株価が本質的な価値に戻る過程で利益を獲得するという手法を実践していました。
詳しい手法については込み入っていますので、以下の記事でお伝えしています。
→「ネットネット株」の弱点をアクティビスト戦略で補完!BMキャピタルが行う本格的なバリュー株投資戦略とは?
グレアムが開発したネットネット株は探すのが困難なのと、長期間割安に放置される可能性があるという欠点が存在します。
そこで、筆者は東大の先輩が立ち上げたBMキャピタルというファンドに投資することで上記二点の欠点を克服しています。
BMキャピタルは独自に保有するシステムでネットネット株を大量に購入します。ネットネット株は市場から注目が集まらない小型株なので大株主になることができるのです。
大株主になることで「物言う株主」として能動的に経営や株主政策に対して意見して、株価を引き上げる活動を行なっているのです。
結果として、市場が下落する局面でも立ち上げから過去7年間、一度も下落することなく年率10%程度のリターンを叩き出してくれています。
今後、更にバリュー株相場回帰で高いリターンを出すと考えています。まさに「今買うべきファンド」ということができるでしょう。
以下で詳しく解説していますので参考にしていただければと思います。
まとめ
コロナショックからの株価回復局面でグロース株が急激に上昇しました。
しかし、金利は既に下限に到達し、株価が既に高くなっているので今後のグロース株については不透明性が高くなっています。
一方、バリュー株は未だに割安な水準であり、元来バリュー株の方が高い成績を残していることから今後はバリュー株相場に回帰することが見込まれます。
ただ残念なことに日本の投資信託には魅力的なバリュー株投資信託は存在しません。
しかし、投資ファンドという括りでみれば日本にも本格的なバリュー株投資を実践しているファンドも存在しているのです。
筆者が投資している投資ファンドを含めて以下ランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。