資産間の相関性が高まる昨今、代替資産としてヘッジファンドは隆盛を極めています。以下はヘッジファンドの1997年から2020年10月までのリターンを全世界株と比較したものです。
全世界株が下落する状況においてもヘッジファンドは下落をマネージして安定して右肩あがりに上昇していっています。
ヘッジファンドに投資する意義は、まさにこの安定的な資産の成長です。安定して資産が成長しているからこそ機関投資家や富裕層から選好されているのです。
折角、ヘッジファンドに投資をすると決めたとしても選択を誤れば資産を大きく減らすばかりか、場合によってはポンジスキームにあって資産を全て失う可能性があります。今回はヘッジファンドの選び方についてお伝えしていきたいと思います。
まずはポンジスキームには気をつけよう
まず最も気をつけないといけないのは詐欺ファンドかどうかという点です。
ポンジスキームとは実際に運用していないにも関わらず、投資家から資金を集めて既存の投資家に分配するという詐欺スキームです。
ポンジスキームは新規投資家からの出資金より、既存投資家への払い出しが多くなった時点で蒸発して資金を持ち逃げします。
ポンジスキームは新規投資家から多くの資金を呼び込み、既存投資家の流出をできる限り防ぐため、以下のような特徴を有しています。
✔︎ 高い分配率を歌っている(月利数%や年率30%以上等)
✔︎ 運用手法が明かされていない。ベールに包まれている
✔︎ 解約に条件が設定されている(元本が引き出せない、引き出しが抽選等)
上記のような特徴のあるファンドはポンジスキームの可能性があるので投資は控えることをおすすめします。
運用手法を確認しよう
一言にヘッジファンドといっても運用手法は千差万別です。主な戦略を分類すると以下の通りとなります。
ディレクショナル(β)型 | アルファ(α)型 |
ロングショート戦略 グローバル・マクロ CTA/マネージド・フューチャー |
レラティブバリュー型 |
マーケット・ニュートラル | |
債券裁定 | |
CB裁定 | |
信用裁定 | |
イベントドリブン型 | |
M&A裁定 | |
資本ストラクチャー裁定 | |
ディストレスト | |
アクティビスト |
β型というのはマーケットの方向性を読んでプラスのリターンを目指す運用手法です。一方、アルファ型というのは市場平均に対してプラスのリターンを目指す手法です。
α型の中でもレラティブ・バリュー型というのは高い資産を空売りして安い資産を購入してリターンを狙う手法です。空売りを用いる戦術ということですね。
一方、イベントドリブンというのは合併等のイベントを利用したり、大株主になって能動的に経営陣に働きかけて自社株買などの資本政策を実行させるアクティビストなどの戦略をさします。
筆者が投資しているBMキャピタルは伝統的なバリュー株投資にアクティビスト投資を組み合わせた攻守備えた運用を行っています。
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個人的な見解にはなりますが、ディレクショナル型やレラティブバリュー型は読みが外れると資産を大きく失う可能性があります。
より確度高くリターンを積み上げるという観点ではイベントドリブン型の方が優れていると考えています。
ファンドマネージャーの経歴を確認
ヘッジファンドで最も重要といっていいのがファンドマネージャーです。もはや半分、人に投資するといっても良い程です。
同じ戦略を取っていたとしても運用者の腕一つで全く異なるリターンとなるからです。ファンドマネージャーについて確認する際は以下の点に留意して選択をしましょう。
✔︎ どのような学位を取得しているのか?
✔︎ どのような経歴を経ているのか?
怪しいファンドの中には全く金融とは関係ない経歴から急にファンドマネージャーになっているようなファンドマネージャーが運用しているファンドも存在しています。
しっかりと信頼できる経歴の人物なのかは確認するようにしましょう。
運用リターンを確認する
次に一番重要なリターンを確認するようにしましょう。ヘッジファンドは海外の大手ファンドであっても運用リターンを公表はしていません。
そのため、自分で面談などを行い確認する必要があります。実際、筆者もヘッジファンドのBMキャピタルに投資する際には面談してファンドマネージャーや運用手法やリターンについて確認しました。
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リターンを見るときにはできる限りグラフで確認するようにしましょう。平均リターンが仮によかったとしても乱高下した結果のリターンだと安心できませんよね。切り出す時間によっては大きなマイナスになる可能性もあります。できる限り右肩あかりで基準価格を伸ばしているファンドを選ぶようにしましょう。
最低投資金額を確認しよう
ヘッジファンドは投資信託のように小さい金額で投資することはできません。
海外のヘッジファンドであれば少なくとも1億円以上、通常2億円以上の金融資産を保有していないと門戸を開いてはいません。
ある程度の資産を保有していないと投資することすら叶わないのです。一方、日本のヘッジファンドの中には1000万円という比較的低い閾値を設定しているファンドも存在しています。
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閾値が低いからといってもリターンが悪いわけではありません。むしろ、最低投資金額が高くなっているファンドもファンド運営初期の閾値が低いときの方が高いリターンをだしている傾向にあります。
筆者が投資しているBMキャピタルも運用資産額は120億円という規模ですが、実はこれくらいのファンドの方が最も高いリターンを狙うことが可能なのです。
逆に17兆円の資産を運用する世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツのようなファンドのリターンは市場平均と似た成績に陥ってしまっています。
大きな資産を運用するに足る魅力的な資産を探し出すのが難しくなるためです。運用規模が大きくなればなるほど投資リターンは悪化する傾向があることは留意しておきましょう。
ヘッジファンドではありませんが、ひふみ投信も同様に人気を博士てから運用成績が悪くなっています。
まとめ
ヘッジファンドに投資する際は、まず詐欺ファンドではないかを確認した上で以下を確認して自分に最も適したファンドを見つけて投資しましょう!
✔︎ 運用手法
✔︎ ファンドマネージャー
✔︎ 運用成績
✔︎ 最低投資金額